登場人物

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登場人物紹介 

先生・・・元高校教師 「つながりの思考」の研究者

ロボット工学と日本文化に造詣が深い

研究の助手であるボンドの設計者

蓮(れん)・・・28歳 霊感の強い看護師

色々見えるので大病院で働けなくなり、現在街のクリニックに勤める、挫折系ナース

仕事に未来を見出せず、自分探しにハマっている

ボンド・・・AIロボット

純粋、柔軟、吸収力は素晴らしいが想像はできない

人はもちろん、あらゆる現象やモノをつなぎ合わせることを目的として、小泉先生によって開発された

「吾輩はロボットである、自我はまだ無い。名前はボンド、ロボット ボンド」

田中さん・・・52歳、サラリーマンの幽霊

物質主義、合理性、生産性、効率性重視の敏腕サラリーマンの幽霊、ただし本人は幽霊であると気付いていない

ボンドのことは「おむすび君」とか「おむすび」と呼ぶ

レン

初めまして!私はレンと申します。看護師をしています。年齢は28歳です。よろしくお願いいたします。

ボンド

ぼくボンド、ロボット ボンド
殺しのライセンスは持っていません

田中さん

あたりめえだろ、このポンコツロボット、おむすびみたいな頭しやがって、お前は「おむすび君」で良いんだよ!
…あ、初めまして、田中と申します、52歳です、商社に勤めております。
妻と今年社会人になった息子と大学2年生の娘がおります。
あいにく名刺は切らしておりまして・・・どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

レン

田中さんって、実は幽霊なんですけど、ご本人は自覚がないんです。

先生

私は、小泉と申します。みなさんからは先生と呼ばれております。高校で物理を教えておりました。
今は自由気ままに研究に励んでおります、日本文化と ロボットが主な内容です、先ほどのボンドは私が作りました。
どうぞ、今後ともよろしくお願いいたします。

登場人物の物語

< 蓮の物語>

初めまして、私は蓮(れん)、28歳、看護師です。

訳あって5年前に大学病院を退職、その後職を点々として、現在は街の小さな整形外科クリニックで働いています。

皆さんはご存知ないでしょうが、看護師は大きな病院で高度先進医療のスキルを学べないと、その後の可能性はとても狭まります、未来が閉ざされるんです。例えるなら企業をリストラされ、コンビニで働くみたいな感じです。

昔は夢があったんですよ、バリバリ働いて、沢山の患者さんのお役に立って、未来が広がって・・・でも今は夢やぶれ、現在は自分探しとリスキリングに励む毎日です。

<ボンドとの出会い>

ある雨の日、仕事を終え雨宿りに立ち寄ったカフェでの事です。

にわかに降り出した雨を避けようと初めて入ったカフェ、客で混み合う店内を空いている席を探しぐるりと見回すと、先生がいました。

先生は、私が働く病院の患者さんですが、病院以外でお会いしたのは初めてでした。その横には、1メートルくらいの高さの金属性の箱、よく見ると先生はその箱にしきりに話しかけているような様子、その箱も応対するように微かに動いています。

いぶかしく思い、ゆっくりと先生に近付きました、すると、先生のそばにいた金属の箱がこっちを向いてニコリと笑い、唐突に「ぼくボンド、ロボット・ボンド!」

私は一瞬、多分2、3秒立ったまま気を失っていたと思います。それがボンドとの初めての出会いでした。

先生は以前は高校で機械工学を教えていらして、ボンドは先生が作ったのだそうです。手作り感あふれる素朴な作りのロボットに機械の冷たさよりも温かいものを感じた私は、一瞬でボンドが気に入ってしまいました。

<先生>

先生とは、それまでクリニック以外で話す機会はほとんどありませんでした。

雨宿りの午後の喫茶店、自然と和やかな雰囲気に包まれ、先生は静かに語り始めました。

「『つながりで捉える』これが今の私の最大の興味なんです」と。

その言葉には深い思索と情熱が宿っており、私は強く惹きつけられました。

先生はさらに、「古来から続く日本文化にも、最新のテクノロジーにも、この世のあらゆる場面に『つながり』は存在します。その繋がりを解き明かすことが、私の目下の目標なのです」

ボンドは、人間では感知できない微細なつながりを察知する能力を持っています、ボンドだけでは補えない人間の感性が必要であり、先生は私にその役割を担ってほしいと提案しました。

その言葉に、疑問と興味が湧き上がり、好奇心に突き動かされました。

自分探しも行き詰まっていたこともあり、日本の歴史や伝統、そして人々の日常に触れることで、新たな視点や気づきを得られると期待し、日本文化を学ぶのも良いかなと思いました。

そんな思いを抱えていると、ボンドが「レン仲間なる? ボンドと先生の仲間なる? なったら、ボンド嬉しい!」と無邪気に喜びの声を上げます。その言葉に心が温かくなり、仲間というつながりが心地よく感じられました。

新しい学びへの挑戦と、心強い仲間との出会いが、自分探しの旅に彩りを加えてくれました。

私は快諾し、先生、ボンド、そして私·蓮による「つながり探し」の冒険が始まったのです。

< 田中さん>

ある日、先生と、ボンドと一緒に日本庭園を散策していた時です。

不意に声をかけられました。

「私は田中信夫と申します。年齢は52歳、大手商社に勤めております。今まで仕事一筋で、人付き合いが苦手なため、周りからは堅苦しいとか変人だと言われ、少し距離を置かれてきました。しかし最近、なんとなく気分が軽くなり、人と気軽に接してみようと思い、お声掛けしました」それが、田中さんとの最初の出会いでした。

実は、本人は自覚がないのですが、この世の方ではありませんでした、いわゆる幽霊です。

先ほど訳あって大学病院を退職したとお話ししましたが、実は私・・・見えるんです。幽霊とか、お化けとか、他人には見えないものが見えちゃうんです。そんな人間が大学病院とか、ありえません、沢山居すぎるんです。そんなこんなで、辞めざるをえなかったのです。

田中さんは先生やボンドとお出かけする先々に、ちょくちょく出現するのですが、その度に「こんな度々お目にかかるなんて、なんという偶然」と驚いていますが、それ以上詮索する気もなく、私たちにくっ付いて来ます。

私には見えるんですが、ボンドも何故か問題ないようでした。先生は気配は感じるようです。

それ以来、3人の「つながり」探しの冒険に、時々参加されるようになりました。

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